| いつも人の顔を見るなりアホだアホだと罵るくせに、 何故今日に限って違うのだ。 そう今日に限って。 ずるい人 自分が鈍いなんて思っていなかった。 他の人がどう言おうとだ。 好きだ好きだとあれほど子供の様につむぎだしていた言葉は あっけなく終わりを告げた。 「ツナさん・・・」 仲むつまじく歩いている姿を見かけたのは先ほどのこと。 二人が密に思いあっていたことなんて当の昔に気づいていた。 (知らぬは本人ばかり) ずるい私はそれに気づかないフリをして、優しい彼に甘えていただけなのだ。 「とうとう、この想いも終わりを告げようとしています・・・」 「・・・しらねーよ」 自分の隣で苛立たしげに煙草をふかすこの男に聞いたって無駄だと分かっていても その場に居合わせてしまったのだから聞いてもらうしか他なかった。 「今までの私の気持ちは何処へ言っちゃうんですかね」 その返答に、私はきっと彼はアホ女というのだろうと思い込んでいた。 だって、いつもの彼ならそう言うから。 それなのに、今日に限って。 どうぜならアホだアホだといつもの様に罵ってくれれば、馬鹿らしくて 笑える事もできただろうに。 「ハル、」 何故今日に限って名前を呼ぶのでしょうか? 彼の口からこんなにも優しい声が出るなんて。 あなたはずるい。 あなたがそんなに優しい声で名前を呼ぶから、私は泣くことしかできないじゃない。 泣かせてあげる獄寺くん。 |
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