夜に泣いたりするの。






「ランボちゃん抱っこですか」



後ろから覆いかぶさるように彼女をすっぽりと包み込む。
少しでも距離を縮めたくて彼女の頬に自分の頬を当てる。
重ねた手に力を込めても、どうしたんですかと穏やかな声。
昔の彼女ならきっと慌てふためいた事だろう、そんな姿が眼に浮かび少しだけ胸が痛む。
ただ本当に、彼女の中では未だに子供のままなのだろう。
触れ合うことに慣れていなかった彼女とこうして熱を合わせるようになったことには喜んでいるのだけれど、
同時に何とも意識されていないのだと思い知らされひそかに肩を落とした。
まだ、破廉恥ですとか何とか叫ばれながら逃げられていたあの頃が男として見られていた気がする。
それが今では甘い言葉を囁こうとも、こうしたスキンシップをはかろうともあの頃のように熱を落としはしない。
それだけ長い年月を重ね知り合えたのだから良いことだ。良いことなのだけれど。



「ランボちゃん、どんどん体温が上がっていきますね」

「それは俺があなたを抱きしめているからです」



はぐらかされるわけでもなく、元からこちらの本位は伝わらないのだろう。
抱っこですか、と。
重なる二つの手のひらを見比べるとこちらを見上げ、子供の頃を思い出しますねと少し眉を下げ微笑んだ。
やっぱり。だなんて今更だけど、目の前に叩きつけられた現実にそれこそ子供の様に声を出して
彼女にすがり付いてわんわん泣きたい気持ちでいっぱいになった。