呼吸困難
つい先ほど爆発音と共に現われた自分より少し年上の少年。
いつも彼が現われると、一緒に居たはずの小さな子供まで消えていなくなってしまうので
どうやら彼がいつも言うように、彼がその子供なのかもしれないと納得しかけている自分がいた。
飲みかけのぶどうジュース。そっと手に取る。
急に現われた彼に落ち着きを取り戻そうと少し口をつけ、目の前にいる彼を見てすぐガシャンと音を立てテーブルの上に置いた。
「な、な、なんでそんなに見るんですか・・・!」
「見ていたいからです」
「そ、即答ですか」
ガシャン。さっきと全く同じ音を立てて、テーブルに置かれたグラスが揺れた。
気まずそうにあっちこっちへ動き回る目線。あ、やばい、今照れてしまっている、とこっそり思った。
ふいに伸びてきた彼の両手が私に近づいてゆく。
それに気づいた私のせわしい目線が、ようやく彼の前で止まった。
私の頬を包む。
縮まる距離。
戸惑う表情。
彼は笑う。
体温が混じる。
愛おしい。
愛おしい。
そんな風に聞こえてくるような気がした。
そう思うと少し泣きそうになった。
カチカチと時が音を刻んで、私は時間なんて要らないのにと思った。
額、瞼から目尻、唇、また唇、もう一度唇、懲りずにキスをする。
恥かしくなりながらも目線を揚げると、顔を赤く染める彼が見えて、愛が、情が、すべてが、こぼれ落ちてしまいそうだと思った。
彼が目を伏せ、まつ毛が影を落とす。
「・・・死にそうです」
やっとの思いで小さく呟いた私の声を受け、心地よい窒息に息を吐くように笑った彼に心臓を締め付けられた。
「俺も死にそうです」
きっと全部あなたのせい