自分だけ
十代目に会いに来たポニーテールの少女は、家に上がったるやいなや
いつもの様に一通りけたたましく騒いでは、十代目を困らせ、
勝手に疲れきってしまい、十代目が用事で部屋を空けたとたんに、ようやく静かになった。
彼女に目をやれば、眠そうに瞳をトロンとさせこくりこくりと首で舟をこいでいる。
もう、だめれす。と呟くと、テーブルにうつ伏して、とうとう眠ってしまった。
本当に本能のまま行動している、まったく呆れた女だ。
十代目もいない。騒がしいチビどもや、あの野球馬鹿もこの部屋にはいなかった。
今ここにいるのは彼女と自分だけ。
静かに彼女が眠るテーブルの向かい側に座る。
一応声を掛けてみるが、彼女が起きる気配は無い。
胸が、ちくりと痛んだ。
「少しは、意識しろつーの・・・」
彼女の黒髪を指でつまみ上げると、じっと顔を見つめる。
僅かに身じろいだ後は穏やかな表情。
すやすやと息を吐く、柔らかそうな唇がむやっと寝息を立てた。
彼女と同じように音をたててテーブルにうつ伏せる。
目の前には彼女。
とりあえず今、彼女の寝顔は俺だけのものなのだ。
デレ獄寺氏。