他は見えないんです(キバヒナ)
人だかりの中を掻き分け目指すところはただ一人。
何処にいたって見つけられる自信がある。
「キバ君!」
「ヒナタ!」
手を振り駆け寄ってくる彼女、ホント後ろに花が見えるくらい可愛らしい。
駆け寄って抱きしめたいけれど精一杯の理性で我慢する。
変わりにポンっと彼女の頭に手を乗せた。
にっこり笑って「おかえり」なんて言う。
彼女の隣ではシノがブツブツ言ってるんだけど、おれは彼女から目を離さない。
「任務お疲れ様」
「ああ、おれヒナタに話したいこといっぱいあるんだ」
「ふふ、じゃあ本部に報告が終わったら沢山聞かせてね」
「もちろん!」
「俺のことは見えないようだな、キバ」
シノの恨みのこもったような低い声にも負けず、ヒナタににっこり笑いかける。
彼女も同じように笑ってくれる。
ああ、もう、
何もかもが輝いて見えて、
何でもできそうで、
何からすればいいかわからない!
他は見えないんです。