だーれだ
突然目の前が真っ暗になったかと思うと、隙間から光が漏れている。
手で視界を塞がれているんだと気づくのに時間はかからなかった。
待ってみても声を出さない相手に、仕方なくこっちから声を掛けてやる。
「ハルだろ?」
差し込んでいた光が、声を掛けた瞬間一気に広がっていく。
顔だけ動かして相手の顔を確認する。
ああ、ほら。やっぱりハルだ。
「な、なんで分かっちゃうんですかー?!」
彼女が驚きと悔しそうな顔で口を尖らす。
自分との身長差も随分あるのに、どうやら彼女は足一杯背伸びをして
目隠しをしたのだろう。本当に変わったことに一生懸命になる子だ。
「なぁんでハル、こんなことするんだよ?」
「私の質問の方が先ですよっ!」
「じゃあ、聞かなくてもいいや」
俺も言わないし、とわざと意地悪く言ってみると思ったとおり、
彼女は、はひっ!と慌てて白状しだした。
聞けば今日学校でクラスメイトに同じことをやられて、
自分は気がつかなかったらしい。
つまりは悔しくて俺に同じことをやったということだ。
「で、結局山本さんはなんでハルだと分かったんですか?」
「さぁな?何でだと思う?」
「はひっ!ハルは教えたのに不公平ですよー!」
言葉を返さずに、ただ笑って彼女を見つめる。
身じろぎした彼女の瞳が揺れた。
その理由は言わないよ。後は彼女自身が考えればいいんだ。
(ハルだからこそわかったんだよ)